系譜の外側|GSX750S

GSX750S(GS75X) -since 1982-

750カタナ

「スズキといえばカタナ」

今でもこう考えてる人は(特に国内で)非常に多いです。ハンスムートのデザインによるケルンの衝撃(ケルンモーターショーで初披露)をリアルタイムで味わった人は一生忘れる事は無いでしょう。

 

そして当時を知らない人でも"カタナ"といえば誰でも知ってるのがスズキのカタナ。ばくおんの影響か再び話題になってたりしますね。

 

「スズキは"カタナ"をまた出せ」「バイクは"カタナ"が一番かっこいい」「"カタナ"を超えるバイクが無い」

 

とか言われるのを誰しも一度は耳にしたことがあると思いますが、こういう時の"カタナ"はほぼGSX1100Sです。海外向けに作られたカタナの長男坊ですね。

それに対しこのGSX750Sは当時上限が750ccだった国内市場に合わせて作られたスケールダウンモデル。カワサキのZ1(900cc)とZ2(750cc)の関係と同じようなものです。

ゼッツー

カワサキのZ2といえばZ1に勝るとも劣らない人気があるのはご存知だと思います。しかしこれがGSX1100SとGSX750Sだと話が変わってくる。

 

カタナがモーターショーで発表された時は誰もが心待ちにしました。こんなバイクに乗りたいと。そして満を持して国内市場に合わせて出たGSX750Sがこれ。

GSX750Sカタナ

・・・何かが違う。少なくともモーターショーで見たカタナとは明らかに違う。

 

これには事情があるんです。

実は国内で販売しようと思った際にセパハンとスクリーンが運輸省から認可が下りなかったんです。そこでスズキは苦肉の策としてハンドルを変更しスクリーンは撤去。

更にカタログ写真をよく見て欲しいんですが、KATANAというペットネームも刃というサイドデカールも無くなっています。これすら過激すぎるとして認可が下りなかったんです。3ない運動は運輸省をも動かすほどの力を持っていたんですね。

ちなみに左が1100、右が750。

1100と750

特にアップライトになったハンドルは大不評で耕うん機ハンドルとか言われていました。

当時1100の方が買えなかったわけではありません。逆輸入車としてあるにはあったのですが、今のように簡単に手に入るシロモノではなく2倍近い価格がする非常に高価な乗り物だったから誰も買えなかった。

だからカタナに惚れた人は言葉が悪いけど渋々750Sを買った人が多かった。ただ勿論みんなそのまま乗るわけはなく、GSX1100S用のスクリーンやセパレートハンドルを流用し本来のあるべき姿に戻すカタナ化をしてた。

でもそれはつまり国土交通省が認可していない装備を付けて走るわけなので当然ながら警察に目をつけられた。セパハンやスクリーンといった装備をして走るとバシバシ違法改造として切符を切られた。

750カタナカタログ写真

これが俗にいう「カタナ狩り」です。二次被害として1100の部品が(高く売れるという事から)盗まれる被害まで出ていました。

つまり当時の人達は乗りたいカタナにも乗れない、乗るなら切符覚悟で乗るしかないという二進も三進もいかない状態だったわけです。

GSX750S2

スズキも事態を重く見たのか翌1983年にはなんとかスクリーンの認可を取得することに成功しスクリーン付きのGSX750S2を出しました。

しかしそれでもハンドルとKATANAという名前は許されず。

GSX750S1カタログ写真

他にもフロントタイヤが前16後17と小径化されスポーツ性が向上したのですが、こうなったらということでスズキはGSX1100Sカタナの逆輸入車を日本で売るように動きます。

今までは各々があの手この手で仕入れていた逆輸入GSX1100Sがスズキが直接手引することにより、比較的安価で入手できるように。今では当たり前な逆輸入車という言葉が周知されるようになったのはこのカタナによるものと言われています。

GSX1100SZ

ライダー達は大喜びで1100に飛びつきました。しかしそうなると当然ながら750Sは完全に要らない子になってしまうわけです。せっかくほぼ日本のためだけに750にエンジンもフレームも手直しして1100とは別のものまで用意したのに。

そこでスズキは考えました。

750はもっと先鋭なデザインにリファインして差別化しようと。そして生まれたのがGSX750S3(Since 1983)です。

GSX750S3

当時流行っていたリトラクタブルライトを取り入れたデザイン。

エンジンとフレームが更に(GSX750Eベース)手直しされ、何よりここに来てやっとセパハンとKATANAの文字が許される事になった・・・と思ったらそれまでのカタナとは似ても似つかないデザインに変わって戸惑うライダーが続出。

初期型GSX1100Sの飽和による中古価格下落も相まって1100を蹴ってまで750を買う人はそれほど居ませんでした。

スズキは諦めずフレームを銀塗装にしたGSX750S4(Since 1986)まで継続販売。

GSX750S4

しかしながら1100の前には思ったほどの人気は出ず、国内もGSX1100Sに一本化という形になり750は僅か4年で生産終了となりました。

時代に翻弄されグダグダとなってしまったGSX750S。それでもトータルで20000台ほど出た(内約はほぼ初年度モデル)なので不人気車とは言えないかも知れません。

S3カタログ写真

しかし国内で出た事を考えた場合、もし最初からセパハンとスクリーンの認可が下りてGSX750S KATANAとして出ていたら違った結果になってたかもしれませんね。

エンジン:空冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:747cc
最高出力:69ps/8500rpm
最大トルク:6.2kg-m/7000rpm
車両重量:222kg(乾)

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